福井公演 [第3版 初演] 全3幕 日本語上演
日時:令和元年9月22日|(日)| 13:00開場 14:00開演
会場:ハピリンホール・能舞台
料金:大人¥4,000 小人 (高校生以下) ¥2,000
主催
福井市『中核市移行・市制施行130周年記念事業』
まちづくり福井株式会社
MamaBA × KEI企画
Camerata Project
後援
福井市教育委員会
福井新聞社
FBC福井放送
福井テレビ FM福井
福井ケーブルテレビさかいケーブルテレビ
月刊URALA
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ARTISTS
作曲:永井秀和
台本・演出;角 直之
指揮:竹内健人
美術・空間構成:星野善晴
出雲阿国:東 園
名古屋山三郎:堀越俊成
加賀菊:日高千聡
尺八:瀧北榮山
ヴィオラ:長田健志
ファゴット:浦田拳一
ピアノ:松田晏菜
『小劇場オペラ《出雲阿国》福井公演』に寄せて
福井公演のための3つの水のモチーフ
■水と越前和紙
「土地は痩せているが清らかな水に恵まれている。農耕ではなく紙を作りなさい」と言い残して消えた女性の伝説から始まる福井県の誇る紙づくり。5つの集落中に行き渡る川と水路の流れを支えに、ほとんどの工房が水路か井戸水で紙を漉いている。作業場は稼動しはじめた途端、清らかな水をいっぱいに湛えた、豊かな空間に変容します。そんな、水に恵まれた土地が生み出した越前和紙を使用します。
■水と能舞台
古くは能舞台は野外に作られており、灯りのない野外での公演のため、かすかな光を効果的に拡散させるよう、舞台の周囲に水を配したと言われています。室内に能舞台が作られるようになったのちも、このころの名残で『白洲(白い砂利が敷いてあるところ)』ができました。能舞台と観客の距離や向きなどの関係は、水の領域、白洲の配置によって、様々に変化してきたのです。
■水と出雲阿国
初演以来全ての公演で、現地で撮影した水の映像を美術に使い、先日の東京公演では実際に舞台上に水を張りました。無意識に「水」を多用してきましたが、今回改めて作品に取り組むうちに、「水の粒子で満たされた大きな空気の塊」がゆらめき躍動する様を、私が本作から感じとっていることに気づきました。今回はさらに出雲大社の建築的特性を重ね合わせ、新しい水の粒子のふるまいを生み出します。
福井公演のための美術・空間構成
■立面方向への水の展開
空間に横たわる白のスクリーンは、柔らかな表情を持った無数の和紙の断片を組み合わせた、それ自体一つの大きな風景装置です。さらに照明効果・映像効果を重ね合わせることで、雲、風、光などに応答して時事刻々と移ろう、有機的な水のテクスチャを表現しました。
■平面方向への水の展開
水(白洲)の領域を操作することで、「舞台と客席が明確に仕切られ、全体がよく見える」西洋型の観劇空間を離れ、現代の常設劇場のうち能舞台のみが継承する、「舞台と客席が複雑な関係を持ち、観客も身体の向きを変えながら見る」日本固有の劇的空間体験を創出します。
■空間への水の展開
八重の雲をめぐる物語の終結部では、出雲阿国が見た、その彼方に広がるであろう傾奇者の地平へと、決意とともに歩み消えゆく姿を表現します。越前和紙の作る立面的な水面と、能舞台の作る平面的な水面に加え、出雲大社の空間構成や参道の軸線を参照し、ハピリンホールを「水の粒子で満たされた大きな空気の塊」で満たします。
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