森鴎外の小説『雁』で用いられた「言葉」をコラージュし、パフォーマンス台本を創作。小説中にあらわれる「男女のすれ違い」や「散歩」をモチーフとした台本をもとに、2人の若手オペラ歌手が仲町通りの端と端を起点に、即興で歌唱しながら交差する。森鴎外・地域・道ゆく人々・歌手・作中人物、交錯する彼らの様々な眼差しの中で、原作『雁』や「仲町」にゆかりの現象を巡っていく。
開催概要
日程:2020年12月18日(金)
会場:上野〜湯島・仲町通り
1回目 17:30〜17:45
2回目 18:30〜18:45
3回目 19:30〜19:45
※ 雨天決行・荒天中止
※ 観覧無料
主催:池之端仲町商店会+アーツアンドスナック運動実行委員会
協力:Camerata Project
ー 出演・スタッフ ー
根本真澄 ソプラノ
町村彰 テノール
角直之 台本・演出
星野善晴 企画・構成
『オンサイト野外パフォーマンス《雁》』に寄せて
本作品では、森鴎外の『雁』原作中に表現された池之端仲町界隈の様子を表した言葉をもとに台本を作成し、その言葉を背景・舞台に、2人のオペラ歌手(訪問着をまとった女と書生風の着こなしの男)が即興で歌唱しながら交差することで、互いが予期せず出会い、すれ違い、別れるまでの様子を表現しました。
前日に開催された「オンライン朗読スナック『雁』」に対応し、「オンサイト野外パフォーマンス『雁』」と銘打ち、双方合わせ、感染症拡大に伴いに各方面で取り組みが急速に進んだ内部空間・外部空間のあらたな活用方法を、オンライン・オンサイトの両面から試みるデモンストレーションとして開催されました。
とりわけ外部空間の活用に焦点を当てた本作品では、アーツアンドスナック運動で同時に検討・実験が進められていた「ガイトウスタンド」を常設の客席、路面を舞台、街並みを背景装置に、演者と鑑賞者と通りすがりの人々とが入り乱れ、各々の活動や視線が複雑に交差する、不思議な空間を路上に生み出しました。
また、無数のネオンの光が輝き、煌びやかでしかし怪しげな印象を抱く方も多い現在の仲町通りですが、この地にゆかりの文学作品をモチーフとし、当時から続き現存する老舗の店舗や地名、風景、出来事や想いを作品中に織り込むことで、空間のみならず時間をも跳躍した、複雑な状況を生み出しました。